人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ひとやすみ。。。。。

ひとやすみ。。。。。_d0088611_0381465.jpg


              荻原 朔太郎



『月に吠える』  (1917)
    猫

まつくろけの猫が二疋、
なやましいよるの家根のうへで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のやうなみかづきがかすんでゐる。
『おわあ、こんばんは』
『おわあ、こんばんは』
『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』
『おわああ、ここの家の主人は病気です』

                (「くさつた蛤」より)




『青猫』  (1923)



    青猫

この美しい都会を愛するのはよいことだ
この美しい都会の建築を愛することはよいことだ
すべてのやさしい女性をもとめるために
すべての高貴な生活をもとめるために
この都にきて賑やかな街路を通るのはよいことだ
街路にそうて立つ桜の並木
そこにも無数の雀がさへづつてゐるではないか。

ああ このおほきな都会の夜にねむれるものは
ただ一疋の青い猫のかげだ
かなしい人類の歴史を語る猫のかげだ
われの求めてやまざる幸福の青い影だ。
いかならん影をもとめて
みぞれふる日にもわれは東京を恋しと思ひしに
そこの裏町の壁にさむくもたれてゐる
このひとのごとき乞食はなにの夢をみて居るのか。

                (「幻の寝台」より)



ここには一疋の青猫が居る。さうして柳は風にふかれ、
墓場には月が登ってゐる。

                (「さびしい青猫」のエピグラムより)

(〈青猫〉は、「物憂げなる猫」という田舎にいる心理状態を投影した像と、「都会の空に映る電線の青白いスパークを、大きな青猫のイメーヂ」とする切ない郷愁の表象の二重の意味をこめたものであった。)







いっぱいの コーヒーでも
片手に
昔のちょっと   ほこりをかぶってしまった詩集を
手にするのもいいかもしれない。

たまには
何も考えずにね。

ちまたでは、猫鍋やら、、
何だか癒し系の猫ちゃんばかりだけれど
朔太郎の猫の詩も
ちょっといいでしょ??




ひとやすみ。。。。。_d0088611_093370.jpg


明日からは夏を思わせるような陽射しになるそうです。
寒かったり
暑かったりね。

どうぞ、体調を崩されません様に。
ご自愛下さい。

ママ
by sankanjin | 2008-05-26 00:12 | ママの日記

山閑人ママのつれづれ日記。岩の上に立つ手作りの喫茶店、山閑人。創設者である新里眞紗生の漢詩、木版画など店内に陳列しています。一緒に子供達の作品もご紹介。美味しい水で点てた珈琲と一緒にお楽しみ下さい。


by 山閑人ママ